黒酵母βグルカン(アウレオバシジウム)培養液テクニカルレポート


1 基礎データ 動物試験-4


黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12の生体防御機構に関する報告

■株式会社アウレオ ■試験依頼先:社団法人 北里研究所 北里研究所メディカルセンター病院 医療環境科学センター

要約

 黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12の生体防御機構における作用について細胞内寄生性細菌を用いた動物感染実験系により検討を行った。感染時における臓器内菌数、生存率および免疫担当細胞の細胞動態を指標とし、黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12作用について評価した。
細胞内寄生性細菌であるListeria monocyotogenesを用いた感染実験系において、黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12を経口投与することにより、6/7例(85.7%)の生存率および平均生存日数12.7日となり、実験対照群に比して著しい延命効果を認めた。生体内より細菌を完全に排除する時間に関しては、実験対照群とほぼ同様の時間経過を示したが、生体内で増殖する菌数に関しては、黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12を投与した群の方が実験対照群に比べて、感染3日目では約100倍近く少なかった。細胞動態に関しては感染前より、黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12を投与することによりCD4陽性αβ型T細胞の増加が認められたが、この細胞が感染抵抗性の主たる細胞となる明確な証拠は得られず、未熟型T 細胞あるいは貪食系細胞による機能亢進が推察された。

試験試料

a
名称:黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12
備考:アウレオバシジウム培養液および乳酸菌加熱死菌体含有液性ジェル
b
名称:黒酵母(アウレオバシジウム)培養液
備考:黒酵母(アウレオバシジウム)培養液;乳酸菌加熱死菌体を除いた物に相当

試験方法

■動物
 動物種:マウス
 系統 :BALB/c/Cr Slc(SPF)
 生産者:日本エスエルシー株式会社
 性別 :
 匹数 :300匹
 週齢 :6週齢
■飼育器材
 ラック :セフティークリーンラック(ATCL-IPNH,日本クレア株式会社)
 ケージ :ポリカーボネイト製, 182x260x128mm(CL-0103-1,日本クレア)
 ケージ蓋:ステンレス製(CL-0103-1,日本クレア)
 給水器 :ポリカーボネイト製,55x50x135mm(CL-0904,日本クレア)
■飼料
 種類 :粉末飼料 CRF-1
 購入先:オリエンタル酵母株式会社
■飲料水
 種類:121゚C,15分間高圧蒸気滅菌済み水道水
■飼育環境
 飼育場所:感染実験動物室
 温度  :23±2゚C
 湿度  :55±15%
 換気  :15回/時間
 照明時間:8:00〜20:00
■使用細菌株
 Listeria monocytogens (EGD株)
■細菌の調製
 超低温冷凍庫(EBARA-LowTemp荏原株式会社)に凍結乾燥保存してあるL.monocytogenes(EGD株)を1%Dextrose含有Tryptic Soy Broth (TS液体培地;DIFCO: Becton Dickinson com.)1mLを加えて再懸濁し、白金耳を用いてTS液体培地に1%Agaroseを加えた平板培地 (TSA培地)に画線し、37℃孵卵器で16時間培養した。
TSA培地上に発育した単一の細菌集落より白金線にて釣菌し、10mL TS液体培地中に溶解した後、37℃恒温槽にて3時間振盪培養を行った。
培養後、細菌浮遊液を5,000xg 4℃にて30分間高速遠心した。
上清除去後、PBS 10mLを加えて再懸濁し菌液を調製した。
調製した菌液200LをBALB/cマウスに腹腔内接種し、48時間後に同マウスの脾臓を採取した。
採取した脾臓は、ブレンダー(EYELA-GTR:東京理化器械株式会社)にてすり潰し、PBS 10mL中に再懸濁し菌液を調製した。
調製した菌液より、白金耳を用いてTSA培地)に画線し、37℃孵卵器で16時間培養した。
TSA培地上に発育した単一の細菌集落より上述した同様の方法にて菌液を調製した。
調製した菌液200LをBALB/cマウスに腹腔内接種し、48時間後に同マウスの脾臓を採取した。
採取した脾臓は、ブレンダーにてすり潰し、PBS 10mL中に再懸濁した後、白金耳を用いてTSA培地に画線し、37℃孵卵器で16時間培養した。
TSA培地上に発育した単一の細菌集落より白金線にて釣菌し、10mL TS液体培地中に溶解した後、37℃恒温槽にて3時間振盪培養を行った。
培養後、細菌浮遊液を300mL TS液体培地中に加えて、さらに37℃恒温槽にて3時間振盪混合培養を行った。
培養後、細菌浮遊液を5,000xg 4℃にて30分間高速遠心し、上清除去後、50%Glycerol含有TS液体培地20mLに再懸濁し、1mLずつ分注後-80℃超低温冷凍庫にて実験使用時まで保存した。
菌液の一部は、10倍階段希釈法にて菌数を測定した。
■実験方法
■感染防御効果の検討
 検疫・検収の終了後、1週間予備飼育を行ったBALB/c7週齢雌マウスに、被験物質をマウス1匹当たり200Lずつ1日1回試験期間中連続経口投与した。被験物質には黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12、アウレオバシジウム培養液を用い、群構成は以下の通りとした。
    ●A群;黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12投与群
    ●B群;アウレオバシジウム培養液投与群
    ●C群;PBS
被験物質を1週間連続経口投与したマウスの尾静脈内にListeria monocytogenes (EGD株)を接種した。なお、菌接種量は、生存率に関しては5.4x10/200L/マウス、臓器内菌数、細胞動態および機能解析に関しては2.7x10/200L/マウスであった。
生存率の測定
 生存率の算出には1群当たり7匹の動物を用いて細菌接種後2週間経過観察を行った。経過観察中生存した個体数を群当たりの総数で除した値に100を乗じた値を生存率とした。
臓器内菌数測定
 臓器内菌数の測定には1群当たり30匹の動物を使用し、細菌接種後1日目、3日目、5日目、7日目および10日目に逐日的に5匹ずつ動物を屠殺し、脾臓を回収した。回収した脾臓をブレンダーにてすり潰し、PBS 5mL中に再懸濁し、これを原液とした。原液を10倍階段希釈法にて希釈し、原液および各希釈系列液より100L取り、TSA培地上に塗抹し37℃孵卵器にて16時間培養した。TSA培地上に発育した細菌集落数を測定し、臓器内菌数を算出した。
細胞表面分子の解析
 臓器内菌数測定と同時に腸間膜リンパ節(MLN)を回収した。回収したMLNをスライドガラスにてすり潰し、ステンレスメッシュにて余分な組織片を除去した後、リンパ球を1x10 /mL となるようにFACS用Hank's液に再懸濁した。下記に示す4種類の染色パターンにてリンパ球を染色し、フローサイトメータ(Epics-XL;Beckman Coulter)を用いて細胞表面分子の解析を行った。

[1]Cy-chrome(Cy)標識抗CD3mAb(T細胞固有認識マーカー)/FITC標識抗TCRαβmAb(T細胞型別認識マーカー)/PE標識抗CD4mAb/biotin標識抗TCR γδ(T細胞型別認識マーカー) mAb
[2]Cy標識抗CD3mAb/FITC標識抗TCRαβmAb/PE標識抗CD4mAb/biotin標識抗CD69mAb(早期活性化マーカー)
[3]Cy標識抗CD3mAb/FITC標識抗TCRαβmAb/PE標識抗CD4mAb/ biotin標識抗CD25mAb(IL-2Rα; 活性化マーカー)
[4]Cy標識抗CD3mAb/FITC標識抗TCRαβmAb/PE標識抗CD122mAb(IL-2Rβ; 活性化マーカー)/ biotin標識抗CD4mAb

統計処理
 臓器内菌数に関しては、各群毎に平均値および標準誤差を算出した。
実験対照群と各被験物質投与群間の有意差は、StudentのT検定またはMann-WhitneyのU検定を用いて検定し、危険率5%未満を有意とした。

結果

■細胞内寄生性細菌1次感染における黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12の生体防御機構における影響について
生存率および生存期間
 被験物質を予め1週間連続経口投与したBALB/cマウスに細胞内寄生性細菌であるL. monocytogenes (EGD株)を尾静脈内接種し、感染防御機構における被験物質の影響について検討した。実験対照群である被験物質非投与群(PBS投与群)においては、細菌接種4日目に全例が死亡し、試験終了時の生存率は0%であった(図1、図2および表1)。
 被験物質投与群のうち黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12投与群においては、菌接種後6日目に1例が死亡したのみであり、試験終了時の生存率は85.7%であった(図1、図2および表1)。
 アウレオ培養液投与群においては、菌接種6日目に1例、7日目に1例が死亡し、試験終了時の生存率は71.4%であった(図1、図2および表1)。
 平均生存期間に関しては、PBS投与群が3.0日であったのに対し、黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12投与群においては12.7日、アウレオ培養液投与群11.5日であった(図2および表1)。
 実験対照群に対して、黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12投与群およびアウレオバシジウム培養液投与群は有意に生存期間の延長を認めた。
臓器内菌数
 被験物質を経口投与した実験系において、実験対照群に対して黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12投与群では生存率および生存期間に有意な差を認めたことより、Listeriaに対する感染抵抗性に黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12が何らかの作用をしていることが示唆されたため、菌排除の指標となる臓器内菌数の経時的変化について解析を行った。
 経口投与した実験系における実験対照群であるPBS投与群では、細菌接種3日目に脾臓内の細菌数がピークとなり、その後は徐々に減少し菌接種10日目に検出限界付近(3.75±7.5cfu/脾臓)となった(図3および表2)。
 被験物質投与群のうち黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12投与群においては、菌接種後1日目より菌の増加を認めたが、菌接種3日目は1日目とほぼ同等の菌数を示し、その後減少し菌接種10日目では27 25cfu/脾臓となった(図3および表2)。
 アウレオ培養液投与群では、菌接種後1日目より菌の増加を認め、菌接種3日目に脾臓内細菌数のピークを認めた(図3および表2)。
 その後徐々に菌は減少し、菌接種10日目には検出限界未満(<3.33cfu/脾臓)となった。

表1 リステリア菌摂取後の生存率に及ぼす被験物質の影響

図1 リステリア菌摂取後の生存率に及ぼす被験物質の影響

図2 リステリア菌摂取後の生存率に及ぼす被験物質の影響

図3 リステリア菌摂取後の経時的変化に及ぼす被験物質の影響

表2 リステリア菌摂取後の脾臓内菌数の経時変化に及ぼす被験物質の影響

フローサイトメトリーによる細胞動態
 被験物質を経口投与した実験系において、実験対照群に対して黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12投与群では生存率、生存期間および臓器内菌数に差異が認められたことより、Listeriaに対する感染抵抗性に関与する生体側の細胞に関してフローサイトメーターによる解析を試みた。
 被験物質を1週間連続経口投与した直後にMLNを回収し、T細胞を中心に解析を行ったところ、PBS投与群に比し被験物質投与群ではCD4陽性αβ型T細胞の増加を認めた(図4)。特に、黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12投与群においては、他の被験物質投与群よりも増加の割合が多かった。菌感染3日後においては、いずれの群もほぼ同様の割合を示した(図4)。
 一方、CD4陽性細胞中の活性化マーカーに関しては、CD25分子(IL-2Rα)、CD122分子(IL-2Rβ)およびCD69分子(早期活性化マーカー)いずれも各実験群を問わずほぼ同等の発現程度であった(表3)。

図4 黒酵母(アウレオバシジウム)培養液経口投与による免疫機能への影響

表3 黒酵母(アウレオバシジウム)培養液経口投与による免疫機能への影響

考察

 感染症や腫瘍に対する宿主の免疫応答は、抗原に対して的確に作用する生体防御機構に起因する。生体に侵入する感染源や生体内で発生した腫瘍に対して速やかに働く生体防御機構を構築することはそれら疾患の予防にも繋がると考えられる。生体防御機構を賦活化することを目的とし、様々な健康食品の研究および開発が広く行われている。そのような健康食品の一つとして、茸類を含む真菌の細胞壁を構成する多糖体のpoly-1.3-βグルコース(β-グルカン)は、宿主の免疫担当細胞への関与が示唆されている。アガリクス茸に代表される茸類のβ-グルカンは、抗腫瘍作用を有すると言われているがその詳細に関しては不明な点も多い。最近になり一部のβ-グルカンはNK細胞上のNKレセプターと結合することにより、NK細胞を活性化させることが報告されている。また、β-グルカンと同様に乳製品に含まれる乳酸菌の一部には腸内細菌叢および腸管免疫機構を介して、生体防御機構を賦活化することが知られている。乳酸菌の一つであるEnterococcus faecalis加熱死菌体を使った我々の研究においても宿主の細胞性免疫を活性化することが判明しており、これらの物質を含む健康食品の開発が積極的に行われている。
 本試験に使用した黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12は、黒酵母菌由来のβ-グルカンとEnterococcus faecalis加熱死菌体とを混合した健康食品であり、生体防御機構を賦活化させる可能性を持つものと推察される。そこで、本試験においては黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12の生体防御機構における作用について細胞内寄生性細菌を用いた実験系で細胞性免疫機構を中心に解析を試みた。
 予め黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12を経口投与したマウスに50%致死量の2倍量のListeria monocytogenesを感染させた。実験対照群であるPBS投与群が感染後4日目までに全例が死亡したのに対し、黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12投与群は7例中6例(85.7%)が生存した(図1および表1:10ページ参照)。
 また、黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12投与群の生存率は、その基本成分であるアウレオ培養液を投与した群よりも高かった。この結果より、黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12には、細菌感染における宿主の感染抵抗性を亢進させる作用を有することが示唆された。感染抵抗性亢進の可能性について検討するために臓器内菌数を測定したところ、黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12投与群においては感染3日目の臓器内菌数が低いことが判明した。また、感染1日目と3日目の臓器内菌数はほぼ同数であり、感染早期での免疫機構に黒酵母(アウレオバシジウム)培養液乳酸菌EC-12が作用していることが判明した(図3:10ページ参照)。
 一方、感染細菌の生体内から感染細菌を除去する速度に関しては、黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12投与群では比較的ゆるやかに推移しており、菌のクリアランスに関しては、むしろPBS投与群よりも低い結果となった。これらの結果より、黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12による感染抵抗性の亢進は、成熟T細胞による攻撃性の強い免疫機構よりも未熟型T細胞もしくは貪食細胞による非特異的免疫機構により行われている可能性が推測された。フローサイトメーターによる細胞動態の解析の結果からも黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12投与群では感染前と感染後もCD4陽性αβ型T細胞の著しい変化は認められず、分化の低い細胞集団の機能亢進によるものと思われる。このことを証明するために血液中のサイトカインに関して測定したところ、黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12投与群では感染3日目にIFN-γ量が高値を示した。CD4陽性αβ型T細胞の変化は認められなかったことより、IFN-γを産生している細胞はマクロファージの可能性が考えられた。黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12の基本成分は黒酵母菌由来のβ-グルカンであり、NK細胞が活性化を受け、その結果マクロファージ系の細胞が活性化された物と推察される。さらに、黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12に含まれるEC-12は、これまでの我々の研究結果より、NK細胞もしくはマクロファージ系の細胞を活性化させることが判明しており、このことからも黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12による感染抵抗性の増強は、未熟型細胞によるものと強く推察される。

まとめ

○黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12を経口投与することにより細胞内寄生性細菌に対する感染抵抗性の増強が確認された。
○黒酵母(アウレオバシジウム)培養液+乳酸菌EC-12による感染抵抗性の増強は、未熟型T細胞および貪食系細胞の機能亢進である可能性が推察された。