黒酵母βグルカン(アウレオバシジウム)培養液テクニカルレポート


4 最新報告


黒酵母(アウレオバシジウム)培養液の抗インフルエンザウイルス試験に関する報告

■株式会社アウレオ

はじめに

 現在、新型インフルエンザが大流行の兆しをみせています。私たちは、かつて大規模養豚業者の過密地域において事故率の高かった、豚のサーコウイルス感染症に対して黒酵母(アウレオバシジウム)培養液の有効性を示唆する試験を行なっていました。サーコウイルス感染症については、その後まもなくワクチンの開発などがあり、実際の臨床の現場で用いられることは、残念ながら少なくなっていたのですが、私たちは、この黒酵母(アウレオバシジウム)培養液がウイルスに対して抗ウイルス作用を示すという経験を、インフルエンザにも適用できないかと考え、研究に取組み始めました。
 当初は鳥インフルエンザを対象と考えていましたが、実験を開始する頃に昨年の新型インフルエンザの流行があり、早い段階での公表が可能となるよう日々研究に取組んでまいりました。黒酵母(アウレオバシジウム)培養液の抗インフルエンザウイルス作用の作用機序は解明されておらず、現在も研究中ですが、今回研究の過程の一部を報告させていただきます。なお、現在の社会状況を鑑み、中間報告的な色合いの濃い内容であるため、試験先の研究機関については現段階では非公表とさせていただくことをご了承ください。
 当社としては一人でも多くの研究者の方々に反証実験を行なっていただき、抗インフルエンザウイルス剤の開発が加速されることを願っております。

要約

 黒酵母(アウレオバシジウム)培養液の抗インフルエンザ試験をH1N1亜型インフルエンザウイルスA/PR/8感染マウスを用いて実施した。抗インフルエンザ薬のオセルタミビル(商品名「タミフル」、中外製薬株式会社)を陽性対照とし、試験試料である黒酵母(アウレオバシジウム)培養液は経口投与し、生存率及びマウスの体重変動を比較した。
 その結果黒酵母(アウレオバシジウム)培養液投与群および陽性対照群の生存率は100%であり、リン酸緩衛生理食塩水(PBS)を投与した対照群の生存率は66.6%(3匹中1匹死亡)であった。
 黒酵母(アウレオバシジウム)培養液投与群の1匹は感染時の体重を下回ることなく試験終了時には5%の体重増加がみられた。1匹については、感染10日目に最大約15%の体重減少がみられ、以後体重は回復し、感染初日と同じ体重で試験を終えた。1匹については感染8日目に最大約6%の体重減少がみられ、以後体重は回復し、感染初日と同じ体重で試験を終えた。
 陽性対照群の1匹は感染時の体重を下回ることなく試験終了時には5%の体重増加がみられた。残り2匹については、感染9日目に最大約20%と25%の体重減少がみられ以後体重は回復し、感染初日とほぼ同じ体重で試験を終えた。
 以上の結果をまとめると、アウレオバシジウム培養液の投与により、インフルエンザウイルス感染による症状としてのマウスの体重減少が抑制され、また、その体重減少から回復が促進された。そしてその効果は抗インフルエンザウイルス薬であるオセルタミビル(商品名「タミフル」、中外製薬株式会社)と同等あるいはそれ以上であった。
 したがって、アウレオバシジウム属に属する微生物を培養して得られるβ−グルカンを含む培養物が、インフルエンザウイルス感染症の治療、特にウイルス感染後の重症化を抑制し、治癒を促進することが示唆された。

【目的】
黒酵母(アウレオバシジウム)培養液の抗インフルエンザウイルス作用を検証する。
【試験の詳細】

試験試料

黒酵母(アウレオバシジウム)培養液(株式会社アウレオ提供)

試験項目

インフルエンザウイルス(H1N1亜型インフルエンザウイルスA/PR/8)感染マウスを用いた抗インフルエンザウイルス試験

動物

6週齢の雄性C57BL/6Njcl系統マウス

操作

 インフルエンザウイルス感染マウスは次のようにして作成した。すなわち、イソフルランを充満させた容器にマウスを入れ、呼吸がゆっくりになるのを確認してから取り出し、ウイルス力価が2×104pfu/mlになるようにPBSにて段階希釈して調製した希釈ウイルス液をマウスの両鼻から交互にマイクロピペットで50μl(1000pfu/匹)を注入した。麻酔から醒めたのを確認して飼育ゲージに戻した。  表1に記載の各試験群及び対照群についてそれぞれ試験液を準備し、これらの経口投与がインフルエンザウイルスを感染させたマウスに対してどのような効果を示すかを調べた。なお、抗インフルエンザ薬であるオセルタミビルとしては、「タミフルドライシロップ3%」(商品名、中外製薬株式会社)を利用した。

給与

 下記表2に示す形態・方法で試験液の投与を行った。なお、アウレオバシジウム培養液(試験群)については試験期間中毎日、ゾンデ法により1日1回200μLを経口投与し、抗インフルエンザ薬であるオセルタミビル(陽性対照群)については、その投与方法としてもっとも効果的であるとされている方法(「DIRK B. MENDEL et al., ANTIMICROBIAL AGENTS AND CHEMOTHERAPY, Mar. 1998, p.640-646」参照)に準じて、ウイルス感染後の5日間、ゾンデ法により1日2回の経口投与を行なった(朝晩1回200μLずつ)。ウイルス感染後のマウスの体重を毎日測定し、体重の推移と生存率を求めた。 表1:試験液 表2:投与形態、投与方法

図1:インフルエンザウイルスを感染させたマウスに対して黒酵母(アウレオバシジウム)培養液を投与したときのマウス体重変動の結果を示す図表

 感染後、1匹は感染時の体重を下回ることなく14日後の試験終了時には感染初日と比して5%増加していた。他の1匹については、感染後およそ7日以降体重の減少がはじまり、その3日後の感染10日目に最大約15%の体重減少がみられたが以後体重は回復し、感染初日と同じ体重で試験を終えた。他のもう1匹については、感染後5日もしくは6日から体重の減少がはじまったが、その2日後の感染8日目に最大約6%の体重減少がみられ、以後体重は回復し、感染初日と同じ体重で試験を終えた。(生存率100%)

図2:インフルエンザウイルスを感染させたマウスに対して抗インフルエンザ薬のオセルタミビル(商品名「タミフル」、中外製薬株式会社)を投与したときのマウス体重変動の結果を示す図表

 感染後、1匹は感染時の体重を下回ることなく14日後の試験終了時には感染初日と比して5%増加していた。他の1匹については、感染後およそ6日以降体重の減少がはじまり、その3日後の感染9日目に最大約20%の体重減少がみられたが以後体重は回復し、感染初日と同じ体重で試験を終えた。他のもう1匹については、感染後5日から体重の減少がはじまったが、その4日後の感染9日目に最大約25%の体重減少がみられ、以後体重は回復し、感染初日と比して3%体重が減少して試験を終えた。(生存率100%)

図3:インフルエンザウイルスを感染させたマウスに対してリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を投与したときのマウス体重変動の結果を示す図表

 感染後、1匹は7日目から顕著な体重減少がはじまり、体重は回復することなく、感染後12日目に死亡した。他の1匹については、感染後4日以降体重の減少がはじまり、その5日後の感染後9日目に最大約28%の体重減少がみられたが以後、感染後14日目に若干の体重回復があり試験を終えた。(生存率66.6%)

表3:試験終了時の体重回復の状況(対感染時)

 アウレオバシジウム培養液の投与により、インフルエンザウイルス感染による症状としてのマウスの体重減少が抑制され、また、その体重減少から回復が促進された。そしてその効果は抗インフルエンザウイルス薬であるオセルタミビル(商品名「タミフル」、中外製薬株式会社)と同等あるいはそれ以上であった。

【考察】

 アウレオバシジウム属に属する微生物を培養して得られるβ−グルカンを含む培養物が、
    1.インフルエンザウイルス感染症の重症化を抑制すること
    2.インフルエンザウイルス感染症の治癒・回復を促進すること

以上の2点が考察された。
 また、感染から体重減少までの期間を鑑み見ると、インフルエンザ感染に対する防御効果が示唆され、感染予防にも寄与することが考察された。

【最後に】

 アウレオバシジウム培養物がどのようなメカニズムで効果を発揮しているかは明らかではないが、マクロファージ貪食能活性化など免疫賦活による作用のみならず、体に備わる免疫バランス機能を高めて、例えばTh1細胞系免疫とTh2細胞系免疫とのバランスを保ち、過剰な免疫反応が不必要に自己組織を攻撃してしまうことを抑えていることによることが考えられた。このことは、新型インフルエンザの合併症の原因の一つと考えられているサイトカインストームによる合併症に効果を発揮することが期待され、検証が待たれる。

【今後の試験研究に対する展望】

1 活性画分と有効成分の特定研究